MTV讃歌 [Electric Pop]
"The Union Of The Snake Is On The Climb
Moving Up, It's Gonna Race
It's Gonna Break Through The Borderline"
(団結した蛇?がウジャウジャ這い上がってきて国境線を突破する?)
Simon Le Bonはこの曲を「カーマスートラ的戯れのメタファー」
みたいに言ってるらしいけど、改めて歌詞を読み直してみると
どうもその説明はミスリードのように思える。
"Telegram Force(d) And Ready
I Knew This Was A Big Mistake"
(出来合いの強いられている電信術は大間違いだって分ってた)
"There's A Fine Line Drawing My Senses Together
And I Think It's About To Break"
(僕の感覚をもっと巧く表現できるいい「ライン」があって
今やそれはブレイク寸前だと思うんだ)
どことなくマクルーハンっぽい物言いでメディアを語ってるフシがある。
じゃあ「ライン」ってのは一体何なんだ?
ずっと前に音楽雑誌で読んだ話のうる覚えなんだけど、
確かDuran Duranがアメリカ進出時に注目を集めたきっかけは
レコードの売れ方がすごく特異だったかららしい。
彼らの出現以前、流行りのポップソングは必ずNYやLAみたいな
大都市から売れ始め、その人気が地方に波及するものだった。
ところがDuran Duranに関しては、大都市だけでなくド田舎でも
同時多発で、しかも爆発的にレコードが売れ出したらしい。
補足すると、地上波のテレビさえロクに映らなかったから、
全米で一番早く衛星放送やケーブルテレビが普及し始めたド田舎だ。
Duran Duranは音楽業界の新たなビジネスモデルの確立者であり、
自分たちが人気者になれた本当の理由が、MTVを流してくれる
新しいメディアにあることを理解していたのだろう。
だとすると「国境線をも超える団結した蛇(ライン)」ってのは
当時一般家庭に急激に浸透し始めた「テレビのケーブル」では?
つまりこの曲はDuran Duranなりの「MTV讃歌」ではないのか?
本日の1曲。Duran Duran "Union Of The Snake"
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