悪魔との取引 [Rock 1980's]
最初に『ファウスト』に挑戦したのは高校の時。
第1部はスラッと読めたが、第2部は理解不能で挫折。
本に読むことを拒まれてる気がした。
それから20数年。こっちの池内訳はあっさり読めてしまった。
確かに読みやすい文体だが、それなりに自分も歳食ったってコトか?
面白かったのは、ファウストは「経済小説」でもあるとの池内の解説。
第2部の初めに逼迫する国家財政を救う手だてが論じられるのだが、
なぜかこの場面はファウスト不在。悪魔メフィストフェレスが皇帝に
取り入って、地中に眠っているという「ありもしない財宝」を担保に
紙幣の大量に発行せよと促す。
自ら政治家として財政再建にも頭を痛めたゲーテには、
ジョン・ローの取り付け騒ぎが念頭にあったってのはナルホド。
確かにこれぞまさしく「悪魔的な錬金術」だ。
需要と供給の一致は「神の見えざる手」によってなされても、
金銀の担保がない紙キレを貨幣として大量に流通させる行為は、
当時の人々には「悪魔との取引」に思えたのだろう。
事実、当の金融当局さえも、つい最近の1971年までは
この錬金術に対する根本的な懐疑心を拭うことができなかったのだ。
ドル紙幣の妙ちくりんな図柄も「悪魔との取引」の名残ってか?
Mephistopheles Is Not Your Name
I Know What You're Up To Just The Same...
この曲自体『ファウスト』がモチーフ。
余談だが、Godley & Cremeが監督のこのVideo、
曲を倍速で流してStingを踊らせてから、スローかけてるのでは?
本日の1曲。The Police "Wrapped Around Your Finger"
2008-06-14 14:45
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