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Don't Believe The Hype [Archives]

    

予想はしてたのだが、堀江騒動も一段落し
ワイドショー的ネタも枯渇気味になったところで
ライブドア堀江の元側近・野口氏の「他殺説」が
ここへ来てまた盛り上がり始めてる。

     

「他殺説」に言及した田原総一郎が身辺警護をつけた
コトも「事件の闇」の深さを物語るってか?

2つ前のエントリーで「自殺説」を取ってみた
俺の耳にもあちこちから情報が入ってくる。

某テレビ局で報道やってる大学の同期の話じゃ
「犯人が××会の組員なのはほぼ確実」で
別の知り合いが聞いた元大物政治家の話じゃ
「沖縄で殺すのは△△組の手口」とか何とか。

どの道、真相は「ブラックボックス」なのだが
原則に立ち返ってみると、
問題は「その筋の情報」の信頼性だ。

まず第一にメディアの取材能力なんてのは
たかが知れてる。

    

ライブドアだって、偽計取引やら粉飾決算やらは
本気で取材すりゃ証拠はいくらでも挙がったのに
それさえマトモに取材できてなかったのだから。

俺が知り合いから聞いた「他殺説」の情報も
全部で3種類だけど、ヤクザ屋さんの団体名
はそれぞれまちまち。しかもその「情報」の
出元は得体の知れねえ「事情通」だ。

そもそもヤクザ屋さんとかその周辺関係者
(黒い噂も多かった元政治家も同類だ)って
何かと話が大袈裟。自分が全く関わってない
案件でも「知らない」とはまず言わねえ。

アンダーグラウンドのベールを身にまとうのは
よく知らねえ人間にテメエを大きく見せるには
手っ取り早い手段だからだ。

それにヤクザ屋さんって、人殺しに代表される
明らかな不法行為は「主要な業務」じゃない。
そればっかりやってたらすぐ捕まっちまう。
ビジネスとしてリスクが大きすぎる。

刀はよほどの時以外は鞘から抜かねえのだ。
何度も抜き差しするとメッキも剥がれるから。
剛速球のピッチャーと見せかけて、その実は
変化球で打たせて取る技巧派みてえな。

つまり彼らの「業務」って、人殺しさえ辞さない
みてえな「圧力団体」的スタンスを取ることで
有利な条件を引き出すケースが殆どなのだ。

一言で言えば、「コワモテ」というブラフ。
何となくルールに縛られてる一般人の中じゃ
血走った目してる奴は取り分が大きいワケで。

多くの人間はヤクザ屋さんなんざお目にかかり
たくもねえから、このブラフを見抜けねえのだが
特に大手の新聞社やテレビ局の報道関係者ほど
この手のブラフを使う「ヤバい奴」に弱い。

デカい事件が起きても、お抱え記者クラブで
ウケウリの情報しか取ってこれねえし、
大抵の取材先は会社の旗掲げたリムジンで
現場に乗り付ければ何でも喋ってくれる。

だから「得体の知れねえ相手」に取材すると
逆に会えたってだけで舞い上がっちまう。
裏取り不能な噂話まで興味深く拝聴しがち。

多分、普段ロクな仕事してねえから
たまにこーゆー体験しちゃうと
「社会の実態に肉薄した」みてえな錯覚した
心理が働くんだろう。

俺が聞いた「情報」の錯綜具合も事件の真相
ウンウン以前に、そんなメディアの機能不全の
現れにしか見えねえ。

野口氏の「他殺説」がまことしやかに
吹聴されるほど、「何でもヤクザ屋さんの仕業」
的な幻想に躍らされちゃってる感じがするのだ。

だいたいメディアに限らず、大手の企業ほど
ヤクザ屋さんの支離滅裂な脅しに弱い。
よくよく考えりゃあデタラメな抗議なのに
思考停止でビビりまくって言うコト聞いちまう。

その「なあなあ」感が行くトコまで行き着いて
ついには「毒をもって毒を制す」みてえに
ヤクザ屋さんを味方につけたような気になって、
その実さらにツケこまれてたり。

ライブドアとヤクザ屋さんの関係も、入口は
そーゆー感じで始まってるんだろう。
でもって、話は野口氏の「謎の自殺」に戻る。

そこまで企業とヤクザ屋さんの結びつきが
深いのなら、「他殺」に見えなくもない。

周到に準備された手口で「殺人」が実行され
万全の隠蔽工作で事件が闇に葬られようと
してるかのように見える。

だが、俺的にはそこが疑問なのだ。

メディアであれ大企業であれ官僚であれ、
最近の数々の不祥事を見ればわかる通り、
あらゆる組織はどこもかしこも穴だらけで、
ツッコミどころ満載だ。

社会全体が「機能不全」を起こしてる。
なのにそこへ来て「ヤクザ屋さんの実力」
だけが過大評価されてる気がするのだ。

野口氏の「他殺説」に関する推測ってどれも
「組織」としてのヤクザ屋さんが極めて
効果的に機能してるって前提に基づいてる。

そんなにうまく機能してんだったら
ビビリまくりのメディアの取材ごときで
口が堅くて鉄壁の結束を誇ってるハズの
ヤクザ屋さんの内幕を「信用できる情報筋」
がホイホイ語ったりできるかぁ?

ヤクザ屋さんの世界にも「事情通」と称する
組織の中枢と関わりのねえハンパ者どもが
ゴロゴロいて、あるコトねえコト吹聴しまくる
デタラメがまかり通ってる証明じゃねーのか?

メディアや企業、あらゆる組織がそーなように
ヤクザ屋さんも、現実は「機能不全」な部分が
あるってコトじゃねーの?

さらに言うと、カネ絡みの「殺し」だとしても
通常より儲かるのが前提のイリーガルな商売
やってるのに、損失被っちゃってる時点で既に
「機能不全」だ。

それで腹立てて人殺すんだったら、まさしく
行き当たりバッタリだ。計画性もヘッタクレも
ありゃしねえのに「自殺に見せかけた殺人」
を周到にやってのけたりできるんだろうか?

現実の裏社会がそれほど狂ってるのかも
知れねえが、一部分はやたら緻密なのに
他はデタラメだらけ。そのアンバランスさ
加減がナチュラルじゃねえから、直感的に
フィクションの匂いがしちまうのだ。

で、こんな感じで突き詰めて話を聞いてくと
あちこち矛盾が出てくるのも妙な話。
でも結論はその辺りをうやむやにしちまって
「コレ以上はヤバくて言えない」とか何とか。
デマの典型じゃねーか。

「事件の闇は深い」「巨悪の陰謀」みてえな
推測って、コレだから信用ならねえのだ。

マクロで見ると「ライブドアと暴力団の関係」
とかは語れても、強引に点を線に結びつけて
陰謀論を展開するのは無理がありすぎる。

いわゆる「Butterfly Effect」みてえなもんで
中国で1羽の蝶が羽ばたいただけでも
アメリカでタイフーンが発生する可能性は
そりゃ確かにあるが、事前の予測はもちろん
後付けの説明だって無理。

たとえ全ての事実が明らかになったとしても
それらを1個1個積み上げて全体像を完全に
再構築するコトは不可能なのだ。

つまり、あれこれ情報の断片を面白おかしく
繋ぎ合わせて「他殺説」を面白がってる奴は
天気が予測できると言い張るインチキ予報士
みてえなモンで、しかもその根拠とする情報
さえ断片的で不確かなワケで。

その意味で「他殺」の可能性も決して否定は
できねえが、現時点では「自殺説」を覆す気も
起きない。敢えて言うなら「推理」というよりも
世相から直感した俺の世界観の表明だ。

世界は行き当たりばったりの偶然で回ってて
単純に見えるコトが実は複雑で、
複雑に見えるコトが実は陳腐だったりする。

確かなのは、あるコトないコト語られる言葉は
どこまでも虚しい「ノイズ」だってコト。
俺の推測と騒がれてる「他殺説」、どっちが
「ノイズ」なのかに関しては今後の成り行きと
読者の判断に任せるとする。

俺もできるコトなら、「信頼できる筋」に直接
話を聞いてみてえモンだ。
で余談だが、ぜひ話を聞きてえのがこの男。

    

以前『ジェネジャン!!』の『新階級社会』の回に
一緒に出演した元ライブドアの林類だ。

ちなみにその時のビデオを見返したら
「ライブドアって虚業ですよね?
 ホントに球団買う気あったんですか?」
とか聞いてるな、俺。

「それも株価釣り上げが目的でしょ?」
ってホントはツッコミたかったのだが
さすがにそれ言ったらカットになるからと
「売名行為でしょ?」と茶を濁した表現で
意外と気を遣ってる自分に笑った。

奴の名は堀江のブログにもたまに出てたし、
確かM&A担当だったからいろいろ知ってると
思うのだが、事件後、奴のブログにアクセス
しようとしてもライブドアのポータルサイトに
なぜか飛ばされちまう。

一体どこ行っちまったんだろ?
虚業だけに逃げ足が速いのか?
或いは捕まっちまうのか?
それとも既に誰かに消されちまったのか?

一応『ジェネジャン!!』で話し合った仲だけに
そんな林類が心配だ。
但し今回は死んでても泣かねえと思うけど。


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