Nudge Nudge (実践行動経済学) [Electronica]
アナタがフレンチレストランでワインを注文するとする。
ワインリストには100種類以上の銘柄が並んでいて
それぞれ産地や味の特徴や料金が事細かに記されている。
でもアナタはワインについて殆ど何も知らない。
わからないのでソムリエにどれがいいか相談すると…
「最終的にチョイスするのはあくまでもお客様ですし、
個人の嗜好に過剰に立ち入った判断はできかねます」
もしそんな店が本当にあったら、大抵の人間は2度と行かないだろう。
「膨大な選択肢」と「それに関する詳細な情報」だけ与えられても、
「選択の自由」に狼狽するだけで、マトモな選択などできないからだ。
例えばこの場合、手っ取り早い改善法の1つは
わからない人間でもとりあえず頼める「オススメの一品」を
メニューの一番上に書いておくって方法だ。
いわゆる"Nudge Nudge Say No More!"
大量の情報に埋もれて思考停止してしまわないように、
「これが一番無難」だと、肘でつついてそれとなく注意するのだ。
この"Nudge"を有効に使えば、世の中はもっとよくなるってのが
この本の主旨なんだけど、なぜ経済学者がコレを書いたのかと言うと、
現実に"Nudge"がない為に、損をしてる弱者がたくさんいるからだ。
例えば「サブプライムローン」で一番手痛い損失を被ってるのは、
複雑なローンの仕組みが判断できないまま、無茶なプランを組んで
マイホームを手放したりローン地獄に陥ってる低所得者だ。
他にも政府の年金プランや医療制度、臓器提供の問題とかに関して
日本の制度設計にも役立ちそうなヒントがたくさんある。
特に官僚や政治家の皆さんには、読んで戴きたい本だと思う。
"There's Definitely, Definitely, Definitely
No Logic To Human Behaviour"
もはや根拠なき楽観論をベースに計画を構築する時代じゃないのだ。
本日の1曲。Bjork "Human Behaviour"
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